基調シンポジウム (8月18日(土)15:20-18:00)

「実践,人,社会。そして,ことばを使い,学ぶということ」

パネリスト:津田大介氏 湯浅 誠氏 香川秀太氏 司会者:西原鈴子氏
津田氏 湯浅氏 香川氏 西原氏

日本語教育の分野では,たいていことばを出発点として考えます。 しかし,今大会の基調シンポジウムでは,あえてことばからは出発せず,人々の実践という側面から,ことばやその使用,学習,教授の問題に迫りたいと思います。 社会的実践が実際にどのように行われているのかをまず検討し,その後で,そうした実践ではことばがどのように使われているのか,さらに,実践の観点からことばを見据えた時に,ことばを学び教えたりすることはいったいどのように捉え直せるのか,そうした問題を考えていきたいと思います。
 今回お招きした3人のパネリストは,全員,日本語教育の分野の方ではありません。一方で,ご専門の分野ではインパクトのある社会的実践を数多くされてきています。 だからこそ,教室や教科書といったフォーマルな状況やツールを通してではなく,社会の中でことばを使ったり学んだりすること,あるいは,ことばを通して人や社会と関わっていくことの意義や可能性について,日本語教育関係者にはない視点を提示し議論していただけるものと期待しております。


基調シンポジウムでの質問・コメントの受付方法について

 本シンポジウムでは,フロアからの質問やコメントを専用Twitterアカウント(@nagoyasympo)で受け付けます。 ただしホール内は無線LANが使用不可で,携帯用電波も弱い可能性があります。そこで,ホール内でネット接続される場合は,各自LANケーブルをご持参の上, 会場1階席のソケットより有線で接続することをおすすめします(会場でのケーブル貸し出しはございません)。
 なお,基調シンポジウムは,サテライト会場野依記念学術交流館にも同時配信されますが,こちらは, 学内無線LAN も3Gも使えます。 Twitterの画面は会場内正面のスクリーンに投影されますが,Twitter経由の質問等を希望されない場合は,ネットに接続する必要はありません。

パネリスト,司会者から一言

津田 大介
津田氏
1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師。一般社団法人インターネットユーザー協会代表理事。 J-WAVE『JAM THE WORLD』火曜日ナビゲーター。IT・ネットサービスやネットカルチャー,ネットジャーナリズム,著作権問題,コンテンツビジネス論などを専門分野に執筆活動を行う。 ネットニュースメディア「ナタリー」の設立・運営にも携わる。主な著書に『Twitter社会論』(洋泉社),『未来型サバイバル音楽論』(中央公論新社)など。
パネリストとして一言: ここ数年でツイッターやフェイスブックなど,リアルタイムに短文のコミュニケーションを行うソーシャルメディアが台頭してきたことで,文脈から切り離された「ことば」が瞬時に多くの人々に流通していく現象が起きています。 ソーシャルメディアを中心とする「ネットワーク社会」が「現実社会」と急速に融合しているなか,社会とことばの関わりがどのように変化していくのか,主にネットワーク社会の観点から語りたいと思います。
湯浅 誠
湯浅氏(撮影:中川賢俊)
反貧困ネットワーク事務局長,NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局次長,内閣府参与。90年代より野宿者(ホームレス)支援に携わる。 2008-09年年末年始の「年越し派遣村」村長。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。1969年生。 著書に『反貧困』(岩波新書2008,第14回平和・協同ジャーナリスト基金賞大賞,第8回大仏次郎論壇賞),『貧困襲来』(山吹書店2007),『本当に困った人のための生活保護申請マニュアル』(同文館出版2005),『正社員が没落する』(角川新書2009),『派遣村』(岩波書店・毎日新聞社2009)等。
パネリストとして一言: 1995年にホームレス支援を始め,その後,生活困窮層の多様化とともに,2006年から貧困問題を訴えています。 限られた領域内での実践から言葉をつむぎだし,その言葉が普遍性を持つようにして社会と架橋する,というのが自分の役割かな,と思って活動してきました。 「貧困」とか「溜め」とか「三つの傘」といった言葉は,そのような中でひねり出してきた言葉です。 活動における言葉の使い方は,実践の仕方と同じだと感じています。 言葉も実践も,いかに「関係ない」と一見思われていることに共通点を見出し,関心を惹起し,課題を「自分たちのもの」と捉えてもらうための手法です。 言葉と実践が,ともに本人をエンパワーし,社会的関心を惹起し,社会の組替へと多くの人を巻き込んでいくために有機的に結びついているのが(少なくともそれを目指すのが)活動だと思います。
香川 秀太
香川氏

大正大学人間学部専任講師。専門は状況論。
2007年筑波大学大学院博士課程修了。博士(心理学)。
関心は,教室学習と現場学習とのつながりや組織間連携の問題など,「複数の状況を横断する学習(越境的学習)」。
日本教育心理学会優秀論文賞(2007)等受賞。
パネリストとして一言: 「教室や研修では,多く時間を費やしてもなかなか実践レベルまで到達しない」,しかし,「現場に出ると急速に学習がすすむ」といったことをしばしば耳にします。さらに,現場に出ても上達しない人とする人とがいます。 なぜでしょうか。「状況(的学習)論」は,それを紐解くのに役立つ視点を提示してくれます。今回,大学や看護教育,企業の人材育成の具体例を交えて,上記の現象や理論についてお話しする予定です。 いずれの事例も日本語教育現場そのものではありませんが,各々に特殊な「ローカルなことば」の学びを含みます。何かヒントになるようなものが見つかりましたら幸いです。
西原 鈴子
西原氏

(独)国際交流基金日本語国際センター所長。
米国,インドネシア,オーストラリアで日本語教育実践の後,国立国語研究所,東京女子大学に勤務(2009年退職)。2008年より文化審議会のもとで「生活者としての外国人」に対する日本語教育プロジェクトに関わる。
司会者として一言: それぞれ専門領域の第一線でご活躍中のパネリストが発信なさる分析と提言を受け止め,未来へ希望をつなぐ方向性を探るのが司会者の役割であろうと考えます。 そこに「日本語によるコミュニケーション」というキーワードを投入するとどのような世界が見えてくるのか,日本語は社会統合の「絆」になり得るのか,グローバル社会の将来を見据えながら議論することを楽しみにしています。

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