大会記念インタビュー (8月18日(土)14:10-15:00)

キーン先生,日本語・日本文化を語る ―日本語とともに歩んだ70年―

語り手: ドナルド・キーン氏 (コロンビア大学名誉教授)
  聞き手・解説: 尾ア 明人氏 (日本語教育学会会長)
 司会: 嶋田 和子氏 (日本語教育学会副会長)

このプログラムでは,70年前の海軍日本語学校の想い出に始まり,世界の中の日本語・日本文化,日本語の国際化と多様化,日本文化の海外普及,多文化社会を共に生きること,などについてキーン先生が語ってくださったインタビューを上映するとともに,その内容やインタビューの様子について,聞き手であった尾崎会長がライブで解説を加えながら進行しました。

 インタビューには次の6つのトピックがあります(下記それぞれをクリックすると,YouTubeに飛びます。右は,その予告編ビデオです)。

●トピック1 海軍日本語学校の想い出
●トピック2 世界に広がる日本文化
●トピック3 日本語を学ぶ意味
●トピック4 世界の中の日本語
●トピック5 日本文化を伝えるには
●トピック6 みんなが共に生きるために

インタビューDVDができるまで

インタビュー風景
 今回の国際研究大会でどなたに記念講演をお願いするか,大会実行委員会および日本語教育学会常任理事会で話し合いました。その時に考えたことが2つあります。 第一に,ご自身が日本語を外国語として学び,日本語を使って活躍なさっている方であること。 第二に,日本研究がご専門の方であること。日本にいるとあまり感じないのですが,世界の日本語教育は日本研究と切っても切れない関係にあります。 これまでの大会でも日本語教育と日本研究の連携が大きなテーマでした。 ですから,日本研究の専門家に日本語教育について語ってもらいたいと考えました。そうなると,ドナルド・キーン先生しか思い当たる方はいませんでした。
 ただ,大会本番は8月の暑い盛りということもあり,キーン先生ともご相談し,事前にキーン先生のご自宅でインタビューを行い,その様子を録画したDVDを会場で上映することとなりました。

キーン先生のことばから (各文をクリックすると尾ア会長の感想が出ます)

 キーン先生のお話の中で印象に残ったことばを6つ取り上げ,感想を加えたいと思います。
展開します 「日本軍は戦争に負けたが,日本文化は戦争に勝った」
展開します 「日本語を教えている人に会ったらすぐ友だちになる。日本語を覚えるという非常に大きな体験を共有しているからだ」
展開します 「外国人の日本語をバカにしないで,面白いと思う方がいい」
展開します 「日本文化の一番いいものを見せるべきだ」
展開します 「外国人が本当に望むなら日本社会の一員になれる。そのためには,日本的な生活をしなければならない」
展開します 「日本語を教えても,できない人はできない。無理に教えても遅かれ早かれ,やめるだろう」
(各文をクリックすると展開します)

キーン先生の近況とメッセージ

インタビュー風景
 キーン先生は,2011年9月に完全にニューヨークのご自宅を引き払って日本に移られ,2012年3月に日本国籍を取得なさいました。東日本大震災の後,先生はテレビ,新聞,雑誌などにたびたび登場し,日本に温かい励ましのメッセージを送りつづけてくださいました。「キーン・フィーバー」とでもいうような状況が生まれ,本当にお忙しい時期を過ごされました。
 最近では,生活も少しずつ落ち着きを取り戻しつつあるとのことで,これからは研究に勤しみたい。特に,長い間温めてきた「石川啄木」に研究の焦点を絞って,やっていきたいと思っていらっしゃるそうです。
 国際研究大会の直前にキーン先生から,次のようなメッセージをいただきました。

「もっともっと東北のことを,日本中が考えたほうがいいと思います。まだまだ十分に復興がなっていないのに,東京をはじめ都会では,震災がまるでなかったかのように忘れかけていると感じるところが,アチコチで見受けられます。被害を受けた人に,もっと手を差し伸べることが必要です。私自身は,日本国籍を取得し,日本人として,日本で暮らしている今が,とても幸せです」

 キーン先生のお話を伺って,皆さん,それぞれにいろいろなことをお考えになったと思います。私たちにこのような貴重な時間を贈ってくださったキーン先生に心からお礼を申し上げます。
文責: 尾ア会長サイン

ドナルド・キーン先生略歴

キーン先生
1922年6月18日 ニューヨーク市に生まれる。
1940年 アーサー・ウェイリー訳『源氏物語』に感動。日本研究の道へ。
1942年 コロンビア大学にて学士号取得。
1949年 コロンビア大学大学院東洋研究科博士課程修了。
1953年 京都大学大学院に留学。
1955年 コロンビア大学助教授,のちに教授。現在は名誉教授。
1982年から1992年まで朝日新聞社客員編集委員。
1986年 「ドナルド・キーン日本文化センター」設立。
1999年から「ドナルド・キーン財団」理事長。
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震を機に,コロンビア大学退職後,日本国籍を取得し,日本に永住する意思を表明。
2011年9月1日 永住のため来日。
2012年3月8日 日本国籍取得。
主な受賞歴:菊池寛賞(1962),国際交流基金賞(1983),日本文学大賞(1985),勲二等旭日重光章(1993),文化勲章(2008)他。
代表作:『日本人の西洋発見』(1957),『日本文学史』(1976〜),『日本語の美』(1993),『明治天皇』(2001)他。
 日本に関する著作は,日本語のものが30点,英語のものが25点ほど出版されている。 近松門左衛門,松尾芭蕉,三島由紀夫など古典から現代文学まで研究対象の幅は広く,主に英語圏への日本文化の紹介・解説者として果たした役割も大きい。

(ウィキペディア「ドナルド・キーン」より。一部編集)

このページのトップへ戻る