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<私>の日本語教育 No.001「日本語は上手に話せても、読むのは難しい?」川村よし子(日本語読解支援システム「チュウ太プロジェクト」

氏名

川村よし子(日本語読解支援システム「チュウ太プロジェクト」)

キーワード

Eラーニング、読解支援、レベル判定、多言語辞書、やさしい日本語

研究・実践の概要

日本語を話すのは難しくないけれど、読むのは難しいという声をよく耳にします。その理由の第一は、漢字ですが、実は言葉の意味を調べるために辞書を引くということ自体が難しいのです。英語ならアルファベット26文字を知っていれば辞書が引けます。ところが、日本語では単語ごとの区切りが示されていないので、どこからどこまでが一語なのかがわかりません。しかも漢字には音読みと訓読みがあり、単語の読み方を知っていなければ辞書が引けません。
また動詞や形容詞などの活用語は、終止形(辞書形)で探す必要があります。そこで、日本語の文章を入力したら自動で辞書が引けるツールがあれば、日本語で書かれた文章を読みたい人の助けになるだろうと考えたのが研究のきっかけです。

読解支援システム『リーディング・チュウ太』のWeb公開の開始は1999年です。当時は検索エンジンもネットショッピングもなく、インターネットで何ができるかを模索している時代でした。そんな中、読みたい文章を入力するだけで文中のすべての単語の辞書引きや単語と漢字の難易度レベル判定が自動で行えるツールを備えた学習環境の無償提供を始めました。入力された文章を単語に区切る作業には、形態素解析という情報技術を活用しました。得られた結果を辞書や難易度レベルの情報と照合して表示するという仕組みです。現在もなお、世界中の学習者や日本語教育関係者がいろいろな形で利用しています。その後、辞書の多言語化を進めるとともに、やさしい日本語への自動書き換えツールなど、一連の読解支援システムの開発を続けてきました。

読解支援システム『リーディング・チュウ太』

研究/実践の特徴・成果

『リーディング・チュウ太』の「辞書ツール」や「レベル判定ツール」は、形態素解析技術を活用しています。解析で得られた形態素(=単語、活用語は終止形)を辞書や難易度リストと照合して辞書引きやレベル判定をします。
下の図は「辞書ツール」の結果画面です。

「辞書ツール」の結果画面

左の入力文の調べたい単語をクリックすれば、右の辞書がスクロールアップされて、その単語の辞書情報が表示されます。調べた単語のリストは本文下に表示され、リストの単語も辞書とリンクされています。辞書は、日日・日英・日独・日斯(スロベニア語)・日西(スペイン語)が選択できます。
また、「レベル判定ツール」では、旧日本語能力試験の出題基準に準拠して入力文中のすべての単語や漢字の難易度レベルを表示します。さらに、「辞書ツール」と「レベル判定ツール」を組み合わせて使えば、語彙力の確認や教材作成等、様々な形の活用が可能になります。

その後、世界の日本語教育関係者の協力を得て、辞書の多言語化を進める一方、2012年からはやさしい日本語を媒介にした読解支援ツールの開発にも着手しました。その結果生まれたのが、『チュウ太のやさしくなーれ』です。入力文中の難しい単語を自動でやさしい日本語に書き換える仕組みです。多義語や説明が必要な語はバルーンで表示します。図の緑の語が書き換えた語、青の語がバルーン表示の語です。このツールで日本の皆さんにも、異文化コミュニケーション=英語ではなく、やさしい日本語によるコミュニケーションも可能なことを示せればと考えています。書き換えは「やさしい日本語書き換えリスト」をもとに行ない、リストは日々更新しています。

ディープラーニングなどAI技術も活用され、音声認識、画像認識も進歩した現在、これからの日本語教育のあり方を新しい世代の皆さんとともに考えていければと思っています。

チュウ太のやさしくなーれ

受賞歴

  • ThinkQuest@Japan99学際部門最優秀賞(1999年)
  • 日本語教育方法研究会優秀賞(2014年)
  • 日本語教育学会学会賞(2020年度)

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