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2025年度宮地裕基金人材育成研修講座 実施報告「学習者主体の初級日本語授業を行うためのサイレントウェイ研修会」

主催者

アドゥアヨムアヘゴ希佳子,品田潤子

研修内容

 近年,CEFRや日本語教育の参照枠において,学習者の主体性を重視する考え方が広く共有されるようになっています。しかし,「学習者主体」とは具体的に何を意味するのか,またそれを授業の中でどのように実現すればよいのかについては,必ずしも十分に整理されているとは言えません。そこで,本研修会では,カレブ・ガテーニョが提唱したサイレントウェイの理念である「教えることは学ぶことに従属する(Subordination of teaching to learning)」という考え方を手がかりに,学びの主体性の意味とその重要性,そして学習者主体の授業において教師が果たすべき役割について考える機会としました。サイレントウェイでは,学習は学習者自身の気づきや試行錯誤を通じて進むものであり,教師は知識を一方的に伝える存在ではなく,学習者の学びを支え,必要に応じて補佐する存在として位置づけられています。 
 申込者は19名で,第1回(参加者13名)では,宝塚大学東京新宿キャンパスにおいて,ブリュネル・アルチュール氏によるフランス語のサイレントウェイ授業の基礎編を体験し,振り返りを行った後,応用編の授業観察を行いました。これらを通して,サイレントウェイにおける「学びの4段階」を中心に理解を深めました。 
 第2回と第3回は,オンラインで開催しました。第2回(参加者12名)では,清水明子氏による日本語のサイレントウェイ授業基礎編の動画を事前に視聴し,課題としてまとめてきた「学びの4段階」および気づいた点について確認を行いました。その後,授業者の振り返りや第1回応用編授業の参加者による振り返りをもとに,授業者と学習者双方の立場からサイレントウェイについて考察を深めました。 
 第3回(参加者9名)では,清水明子氏による日本語のサイレントウェイ授業応用編の動画を事前に視聴し,課題として書いてきた「学びの4段階」と気になった点を確認したうえで,自身の授業において改善したい点や,そこにサイレントウェイをどのように取り入れることができるかについて意見交換を行いました。
 参加者へのアンケートの結果,全員が本研修会について「とてもよかった」または「よかった」と回答していました。また,「こんなにも学習者を集中させる教授法があるなんて驚いた」「短い時間で教えなければならないことに追われ,いつの間にか学習者のことを十分に考えられていない授業になっていたと,反省させられた」「この研修会で,サイレントウェイには「学びの4段階」があって,それは学習者一人ひとり異なることがよく分かったので,学習者の間違いを受容することへの寛容さが以前よりも増したと肌で感じる」といった声が寄せられました。 
 一方で,3回の研修のみでサイレントウェイについて十分に理解してもらうには限界もありました。今後も,継続的にサイレントウェイに関する研修会を実施していきたいと考えています。 

資料

#宮地裕基金人材育成研修講座