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日本語教育学会について

会長挨拶

会長就任のごあいさつ

公益社団法人日本語教育学会 会長 西口 光一

 2025525日の理事会で会長に選出されました西口光一です。前期に続いて2期目となります。会長職の立場で過去2年間を経験しましたが、この2年間は、日本語教育の世界は激動、そして日本語教育学会も大きな転換期を迎えている観があります。
 本学会の歴史は古く、1962年の「外国人のための日本語教育学会」が起源です。そして、1976年に、外務省と文部省(当時)の許可を得て社団法人日本語教育学会となりました。その後、2013年に公益社団法人となりました。現在は、約3,500名の会員を擁する大きな学会となっています。こうした歴史を有する日本語教育学会は、従来より、日本語教育の実践と学術研究の振興を図り、日本語教育と関連の学術研究の交流を促進して、日本語教育をさらに充実、発展させ、日本語教育研究を一層発展、展開することを通して社会に貢献することが求められてきました。そうしたことを再確認し、その後の日本語教育学会の指針を示したのが2015年にまとめられた『公益社団法人日本語教育学会 理念体系』です1
 本学会は、この『理念体系』に基づいて中期計画を策定し、各種の事業や組織を設定して運営されています。2025年度は、2024年度に引き続き少し大きな学会改革の提案を含む第3次中期計画の策定に取り組みます。学会改革については、第1次中期計画の評価の段階で、予算や人力の課題が指摘され、それを踏まえた第2次中期計画では、基本的な考え方(骨子)として「緩やかな事業整理と資源の集中」が掲げられましたが、さまざまな事情で改革は思うようには進みませんでした。しかし、2024年度は各委員会委員長や代議員にも参加いただいて、事業・組織・運営・財政など学会活動全般にわたる点検・評価の活動を通して現状と課題を整理することができ、現在2026年度から始まる第3期中期計画の骨子を策定するところまで進みました。その内容は2025年度春季大会にて説明し、学会ウェブサイト内の「むすぶ」に関連資料を公表していますので、ぜひご覧ください2
 一方、日本語教育の世界に目を向けると、2024年度は皆さんご存じのように「日本語教育制度化元年」でした。2024年度1年で、41の日本語教育機関が認定機関に、113の機関が登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関となり、1万人以上の人が日本語教員試験に合格しました。今後、認定機関も登録機関も登録教員も大幅に増加し、その活躍の場が広がっていくことが予想されます。本学会の果たすべき役割も一層大きくなっていますので、2024年度に新たに設置された文部科学省の日本語教育課をはじめとするさまざまな関係者とも情報・意見交換しながら、本学会としてふさわしい役割や活動を具体的に検討していきたいと思います。
 また、他方で、海外の大学からは日本語教育部門の廃止や縮小などのニュースが入ってきています。国家が自国中心主義に傾きがちな今こそ、言語と文化の学習を一層促進して、相互理解を深め、人と人や機関と機関の交流などを進めなければならないと感じます。本学会は、こうした海外の動きにも海外の教師や研究者と連携しながら対応しなければならないと考えています。
 「日本語教育」という名を冠する本学会は、『理念体系』に示された使命などを一層有効に達成すべく、引き続き内外の日本語教育者や日本語教育研究者そしてさまざまな形で日本語教育に関わる人々が集い、互いに学び、ともに成長する場を提供していきたいと考えています。日本語教育学会会員の皆さんはそうした理念の下に結集した仲間です。今後も本学会の活動に積極的に参加し、活動を支援し、それぞれの立場において日本語教育と日本語教育学の活性化等にご尽力くださいますことを期待しています。
 また、本学会は会員だけでなく、広く社会全体への貢献をめざして活動しています。今後も、日本語教育を通じて「人をつなぎ、社会をつくる」という本学会の使命を果たしてまいりますので、会員・非会員を問わず、皆さまのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

1 『理念体系―使命・学会像・全体目標・2015-2019年度事業計画』 
         理念体系の中心部は、pp.10-14で論じられています。
2 日本語教育学会の第3次中期計画の骨子について(2025年度春季大会説明会動画)