お知らせ
新年のご挨拶 2026年新春
新年のご挨拶 2026(令和8)年新春
新しい年を迎えるにあたり、ご挨拶を申し上げます。皆様におかれましては、健やかに新年を迎えていらっしゃることと、お慶び申し上げます。
昨年を振り返ってみますと、7月の参議院議員選挙以来、外国人をめぐる問題が、国が取り組むべき課題として明確に浮上した年でした。同問題には、さまざまな側面がありますが、わたしたちとしては、増加を続ける外国出身者とその子どもたちのことに関心が向きます。そして、去る12月には、政府・与党で、中長期の在留外国人が日本語や日本の制度などを学ぶための「社会包摂プログラム(仮称)」創設の検討が始まったとの報道が出ました。朝日新聞(2025年12月19日)によると、在留審査の考慮要素に同プログラムの受講を加えることで、地域社会との摩擦を防ぎ、排外主義の高まり抑える狙いがあるとのことで、自治体が参考にできる日本語教育のガイドラインの作成や、外国人の子どもが入学する前に日本語などの基礎知識を学ぶ「プレスクール(仮称)」のあり方も検討されているそうです。具体的な内容はまだわかりませんが、同報道によると、自民党のプロジェクトチームが中間報告をまとめる予定ですので、近く公表される中間報告に注目したいと思います。
在留外国人が396万人(2025年6月現在、法務省調査)に上り、日本語指導が必要な児童生徒は7万人近く(2024年5月、文科省調査)に達し、いずれも引き続き大きな増加傾向を示していることは周知の通りです。この国は、すでに外国出身者を受け入れる方向に舵を切っています。外国出身者やその子どもたちを一時的な滞在者と見る時代は終わり、そうした人たちを現在及び将来のこの日本列島上の社会の十全な構成員であると見て、然るべき制度を整え、施策を実施し、支援を展開するべき段階に来ています。
本学会の理念体系の「使命」では「ことばは、私たちが生きるための根源的な力です。日本語教育学会は、人の成長や、日本国内外の人と人をつなぐ、豊かな社会づくりにおいて大きな役割を果たすことをめざします」と謳われています。日本語の教育・指導・支援を社会から託されているわたしたち日本語教育者としては、今改めてこの使命をかみしめる必要があるでしょう。そして、わたしたちの教育や指導などを単なる実用的な日本語の教育・指導に留めず、「生きるための根源的な力」としての日本語力の育成とはどういうことか、また「人の成長」を促し「人と人をつなぐ、豊かな社会づくり」に資する日本語教育の企画や日本語習得のための環境のデザインとはどのようなものか、などを改めて真摯に研究し検討しなければなりません。後者には、日本の人たちの外国出身者についての認識の変容や「やさしい日本語」の能力の育成なども関わるでしょう。
一方、本学会では、過去2年間にわたり関係者の情報交換・意見交換を密に行って2026年4月から始まる第3次中期計画を検討し、現在、新たな学会の姿を描き上げつつあります。公益社団法人である本学会が、持続可能な形で今後も力強くその使命を果たしていくための計画となっています。日本語教育に対する社会からの期待が一層高まっている現在、会員の皆さまが引き続き積極的に学会の活動に参加し相互に研鑽を積んでくださることをお願いしますとともに、より多くの方が本学会の趣旨に賛同して仲間として活動してくださることを期待しています。
さて、学術研究の方に目を向けると、2026年11月20日から22日の3日間にわたり台湾・台北近郊の淡水ゴールデンチューリップFABホテルを会場として日本語教育国際研究大会が開催されます。世界中の日本語教育者が集って、研究成果を発表し、議論を交わし、交流を深める、2年に1回の大きなイベントです。発表募集も1月1日から始まります。皆様、ぜひお誘い合わせの上、多数ご参加ください。
最後になりましたが、新しい年が、皆さま一人ひとりにとって幸多く、ますますの発展の年となりますことを祈念して、新年の挨拶とさせていただきます。
公益社団法人日本語教育学会 会長 西口光一